中小企業や個人事業主を対象として政府が施行している持続化給付金、いわゆる「コロナ給付金」は、新型コロナウイルスによって業績が悪化してしまった多くの経営者にとって事業を存続するための非常に大きな助けとなっています。

審査が非常にスピーディーで、給付までにかかる時間が他の補助金と比較して非常に短いというのも魅力です。実際、迅速に持続化給付金が振り込まれたことで、何とか事業の継続に成功したというケースは少なくありません。ですから、持続化給付金は非常に効果が良い施策といえるでしょう。

一方で、審査がスピーディーという点に付け込んで本来給付条件を満たしていないにも関わらず、申請を行い不当に援助金を受け取っているというケースがさまざまなメディアで報告されています。これから申請を考えている事業者は、実際に逮捕者まで出ている詐欺になるケースとはどのようなものなのかを理解しておくことで、不必要なトラブルに巻き込まれるリスクを抑えることができるでしょう。

明らかに詐欺と理解して申請しているケース

持続化給付金の審査を悪用した詐欺事件が数多く報道されています。これは、個人事業主ではない人の名義で2019年度の確定申告書および2020年度の売上台帳を偽造し、本人確認書類と合わせて申請を行うというものです。

書類上は問題がないため、個人事業主に対する最大給付額である100万円が申込者の口座へ振り込まれます。名義貸しをした人は10万円前後を謝礼として受け取り、手続きを指導した人は残りの90万円を手にするという非常に悪質なもので、すでに国としての被害額は数十億円に上るとみられています。

「簡単に10万円を稼ぐことができるアルバイト」という誘い文句に釣られて、大学生などを中心にあまりよく考えずに名義貸しをしてしまったという人は少なくありません。とはいえ、これはれっきとした犯罪行為であり、窃盗ではなく詐欺として立件および起訴される可能性があります。

悪質な詐欺行為と判断された場合、逮捕されて懲役刑が課される可能性があります。また、給付額を全額返金することに加えて、給付額に対して年率3.0%の延滞金、および給付金と延滞金の合計額に対して20.0%の加算金を別途支払わなければなりません。

給付金詐欺の背後には反社会的勢力に属する指南役がいると考えられており、名義貸しをしてしまった人に対しては反社会的勢力から恐喝まがいの行為が及ぶのではと懸念されています。ですから、これらの犯罪行為に加担してしまった人はすぐに警察へ届け出る必要があるでしょう。

また、現時点で申し込みをしたものの振り込みはまだされていないという人も、警察へ相談するとともに、中小企業庁へ連絡をして即刻申請を取り下げることが必要です。

勘違いから誤って給付を申請してしまったケース

前年より利益が出たにも関わらず給付を申請してしまったというケースでは、審査の段階で条件を満たしていないと判断されて給付金が支払われることはないため、問題になることはまずありません。問題になる可能性があるのは「売り上げがダウンした理由はコロナではない」というケースです。

「前年比で業績が悪化していれば誰でも申し込める」と考えて申請を行った人は少なくありません。ただし、持続化給付金は、「コロナ給付金」と呼ばれていることからもわかるように、新型コロナウイルスの影響によって業績が悪化した企業および個人事業主をサポートするために用意された制度であるという点を覚えておきましょう。

例えば、コロナウイルス対策の自粛要請に応じた結果、来店者数が大幅に減ってしまったという小売業者は少なくないでしょう。その場合、持続化給付金へ申請するのは間違いではありません。一方、新型コロナウイルスとはまったく関連のない理由によって会社としての売り上げが下がった場合、この制度を利用するのは実質的に誤りなのです。

ですから、本来の給付用件に合致していないにも関わらず給付金を申請してしまった、あるいは給付を受けてしまった場合には、それを返納する義務が発生します。

給付条件を満たしていないのに受け取った人はどうやって返納するのか?

詐欺行為に加担してしまい給付資格がないのに受け取ってしまった人や、申請要件を十分に理解せず申し込みをしてしまった人は、「どうやって返納するのか?」という悩みを抱えていることでしょう。この支援制度を監督している経済産業省および中小企業庁では、今年中に間違いに気づいた人で、自主的に返納する人に関しては延滞金と加算金を課すことはしないと通告しています。

ですから、中小企業庁の公式サイトにあるフリーダイヤルで相談するか、もしくは市役所ないし区役所へ行って相談しましょう。その際に申請した際の書類などをすべて揃えておくのは重要です。そこでどのように返納すればよいかに関して具体的な手続きを教えてもらえます。

返納額に関して注意すべきポイントがあります。それは、詐欺グループが90万円を既に持って行ってしまい、手持ちには10万円しかないという場合でも、返納すべき額は100万円であるということです。悪質な行為に加担してしまったのは自己責任であり、他の人に追ってもらうことはできません。

加えて、被害者である経済産業省や中小企業庁は民事で裁判を起こすことはないと明言しているとはいえ、給付金を返納すれば警察の捜査対象にはならない、というわけではないことも覚えておきましょう。悪質なケースであると警察が判断した場合には、たとえ返納をしたとしても逮捕および起訴される可能性があるのです。

ですから、申請を行う際には申請資格を本当に満たしているかどうか、きちんと確認してから手続きに入りましょう。どうしても確信が持てないときは、申請サポート会場もしくは税理士へ相談することをおすすめします。

不安に思うことがあれば中小企業庁へ相談しよう

持続化給付金は中小企業や個人事業主の経営を支えるというのが主な目的です。そのため、他の補助金とは異なり、給付された場合の使途に関して細かな規定がありません。ですから、事業に関連して物品の購入などを行う際に経費として使用したのであれば、確定申告の際に使い道を問題視されることはほぼないでしょう。

もちろん、これまでの申告と同様に、経費に関する領収書をきちんと保管しておき、監査が入ったときに提示できるようにしておくことは肝要です。加えて、持続化給付金の給付が決定されたときには、事業所もしくは事業主の自宅へ通知書が届きますから、それを重要な書類として管理しておくことも忘れないようにしましょう。

持続化給付金の適用範囲は2020年12月の売り上げまでとなっています。これから申請を考えている個人事業主で、本当に給付用件を満たしているか自信がない、あるいは申請方法の詳細を知りたいという人は、持続化給付金の運営・管理を行っている中小企業庁へ問い合わせてみましょう。

公式サイトには申請の基準や申請方法を分かりやすく解説した動画がアップされています。また、中小企業庁管理のもとで申請サポート会場が全国各地に用意されています。直接担当者から説明を聞きながら書類を作成したいという人はぜひ活用しましょう。

とはいえ、忙しく働く個人事業主にとって、申請用の書類を整えるのは大変な作業です。スピーディーに会計用書類を準備できれば良いのにと感じる人は少なくありません。そんなときに役立つのが「クラウド会計」です。インターネット上で管理するのでバックアップをする必要がなく、更新作業がとても簡単というのは大きな利点と言えるでしょう。

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