会計ソフトの使い勝手や機能に物足りなさを感じ、別のソフトへの乗り換えを検討されている事業者の方もいらっしゃるはずです。ただ、会計ソフトとなると、乗り換えといってもかなり複雑になり、互換性などが心配でなかなか決断が付かない場合もあるのではないでしょうか。
クラウド会計ソフトでは、「弥生会計 オンライン」、「freee」、「マネーフォワード クラウド」の3製品が圧倒的なシェアを占めていますが、これらの製品間の乗り換えも気になります。では、実際に乗り換える場合、どのような点に注意しておくべきなのでしょうか。
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クラウド会計ソフトを乗り換える際の準備
会計ソフトの乗り換えはたいへんだというイメージがありますが、「弥生会計 オンライン」、「freee」、「マネーフォワード クラウド」のような他社製品のデータのインポートに対応した製品なら、それほど難しいわけではありません。まず、乗り換えに必要なものと準備について理解しておきましょう。
クラウド会計ソフトの乗り換えに際し、そろえておくべきもの
インストール型であれクラウド型であれ、会計ソフトの乗り換えの前にそろえておかなければならないのが、これまで使っていたソフトのデータです。それから、乗り換えたいソフトを用意し、クラウド型ならば事前に利用登録も済ませておく必要があります。また、ソフトのデータだけでなく、当期の開始残高を示す賃借対照表と前期の残高試算表も用意しておきましょう。
クラウド会計ソフト乗り換えで重要なのがインポートとエクスポートの精度
他社のデータのインポートに対応する会計ソフトなら、乗り換え自体はそれほど難しいことではありません。なお、インポートとはデータを読み込む機能のことで、その反対にデータを書き出す機能がエクスポートです。クラウド会計ソフトとして高いシェアを占める「弥生会計 オンライン」、「freee」、「マネーフォワード クラウド」は、いずれも他社製品のデータのインポートに対応しているので、これらの製品間での乗り換えは可能です。ただ、注意したいのが、データをインポート/エクスポートした時の精度です。
マネーフォワード クラウドが最も乗り換えに便利
インポートとエクスポートの精度に優れているのが、「マネーフォワード クラウド」です。インポートの際、少々列がずれている場合でも自動で修正してくれます。また、エクスポートの際は自動同期もちゃんと把握してくれるので、他社製品から「マネーフォワード クラウド」へ乗り換え、もしくは、「マネーフォワード クラウド」から他社製品への乗り換えは問題ないでしょう。
それに比べると、「freee」はそこまで高い精度でインポートとエクスポートに対応していないのがネックです。ちょっとでもインポートの列がずれるとエラーとなって修正できませんし、エクスポートの際も「マネーフォワード クラウド」ほど詳細なアナウンスがないです。
なお、「弥生会計 オンライン」も他社製品間とのインポート/エクスポートは問題なくできます。ですので、この3製品ならどのソフト間での乗り換えも可能です。
ただ、会計ソフトのデータは携帯電話のアドレス帳ほどシンプルなファイルではないので、うまく移行できなかった時の修正がたいへんでしょう。もちろんどの製品を選んでも、乗り換えてもらう側にとって新たなユーザーは大歓迎ですから、わからないことがあったらすぐにサポートセンターが対応してくれるでしょう。
乗り換えがもっともやりやすいクラウド会計ソフトを選ぶとしたら、「マネーフォワード クラウド」がベストと言えるのではないでしょうか。
クラウド会計ソフト乗り換えのタイミング
クラウド会計ソフトの乗り換えでの準備と、「弥生会計 オンライン」、「freee」、「マネーフォワード クラウド」間の乗り換えのやりやすさについて見てきましたが、そもそもクラウド会計ソフトを乗り換えるのはどんなタイミングでしょうか。
まず考えられるのが、個人事業主が法人成りする時です。なぜなら、クラウド型に限らず会計ソフトは個人用と法人用で種類が違うからです。所得税や法人税など税金が違いますし、財務諸表の科目、会計処理、それに作成しなければならない書類も違います。これだけ違うものがあるわけですから、法人になっても個人用の会計ソフトを使い続けるのは不便に感じるでしょう。
個人事業主用と法人用のプランでは料金も違いますから、単にプランを変更するだけでなく、他社製品への乗り換えも検討してみてください。
また、法律の改正があった時などにも同じ会計ソフトを使い続けられなくなることがあります。消費税率の変更などがあった時には、もちろん最新の税制に対応した製品へのアップデートが必要です。こういう時にインストール型の会計ソフトは若干不便で、アップデートの作業はすべて自分で行わなければなりません。もちろんアップデートするためには費用もかかります。
その点、クラウド会計ソフトなら法改正にも自動で対応してくれるため便利です。いざ法律が改正されると決まってからバタバタして乗り換えるよりも、今のうちにクラウド会計ソフトに乗り換えることも検討してみてはいかがでしょうか。
クラウド会計ソフトの乗り換えの注意点
何かと便利なクラウド会計ソフトですが、クラウド会計ソフトなら何でもよいわけではありません。乗り換えに当たっていくつかの項目を注意しておきましょう。
まず、大切なのがその製品のサポート体制です。「弥生会計 オンライン」、「freee」、「マネーフォワード クラウド」のようなメジャーな製品なら大丈夫ですが、名前も聞いたことのない製品の場合、いざという時に心配です。なるべく電話やチャットで乗り換えをサポートしてくれる製品を選びましょう。
なかには乗り換え作業自体をサービスで提供してくれるところもあります。会計ソフトの乗り換えとなるとどうしても価格が気になってしまいますが、サポート体制もしっかりチェックしてください。
また、そもそもソフトを乗り換えることにどんなメリットがあるのか、慎重に検討してから決断するべきでしょう。少しでも安い製品が出ると、ついそちらの方がお得に見えて乗り換えたくなってしまいますが、先ほども述べたようにクラウド会計ソフトは価格がすべてではありません。
乗り換えた結果、前の製品よりも使いにくくなっては意味がありませんから、乗り換え先のソフトに必要な機能はあるのか、法改正時の対応はどうなっているか、そもそも自分のビジネスにメリットがあるのかといったことは、価格やサポート体制と併せてしっかり吟味してください。
クラウド会計ソフトの乗り換えは必要性を見極めてから
インストール型の会計ソフトからクラウド会計ソフトへの乗り換えを検討されている方は少なくありませんが、先ほどから述べているように、乗り換えのタイミングとそれによってもたらされるメリットをよく検討してから決断してください。
また、クラウド会計ソフト同士の乗り換えですが、「マネーフォワード クラウド」の乗り換えのしやすさが目立ちますが、「弥生会計 オンライン」と「freee」も他社製品のデータのインポートに対応しているので、これら3製品の乗り換えには基本的に問題はありません。
いずれにせよ、会計ソフトの乗り換えとなるとさまざまな変更が伴いますので、新しいやり方に慣れるまで戸惑うことも考えられます。そのため、乗り換えるならギリギリのタイミングではなく、余裕ある段階で行いましょう。
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