副業・兼業の現状とは

サラリーマンとして正社員で働いているものの、副業やアルバイトを希望する人は年々増えています。今の本業とは別の分野でやりたいことがある人が、まずは副業の形で事業を始めることもあります。また、スキルアップしたい、資格を活かしたいという人も少なくありません。

また、単純に今の収入では足りないから、副業で生活費を補いたいという切実な理由から副業を始めるというケースもあります。今では副業の種類も、アルバイトやフリーランスといった一般的なものだけでなく、会社役員や投資家など多様化しています。厚生労働省もこうした副業の現状を踏まえて、副業を促進するためにさまざまな対応を進めており、副業の利点や問題点などを整理した規定を出しています。

副業・兼業の促進に関するガイドラインとは

厚生労働省は、労働者の副業・兼業の促進に関するガイドラインを作成しています。このガイドラインは、労働者が副業やアルバイトをしようとする際に、企業側が取るべきふさわしい対応を提示するということを目的としています。政府が働き方改革に取り組む中で、副業・複業への意識が高まりつつあります。

日本企業はもともと副業やダブルワークを許さないという長い伝統があり、仕事への献身性を重視した就業規則を導入しています。とはいえ、政府によって働き方の変化が推進されていることで、日本の企業における働き方も多様化しつつあるわけです。

現在日本では少子高齢化による労働力人口の減少という問題も抱えていますから、厚生労働省はこのような状況に対応するためにも、副業・兼業の促進に関するガイドラインを発行しました。

副業の注意点(1)勤務時間と健康管理

副業を始める前、または従業員に副業を認める前に、副業について知っておくべき注意点があります。その1つは、勤務時間と健康管理です。これまでの副業等に関する判例によれば、労働時間外(勤務時間外)の時間の使い方は原則として従業員の自由であるものの、業務の遂行に支障をきたす場合や会社の秘密を漏らす場合、あるいは会社の名誉や信用を傷つけたり会社との信頼関係を損なったりする場合には、どの会社でも労働時間外の時間の使い方を制限することができるとされています。

また、労働基準法の労働時間に関する規定から外れるような働き方や、労働条件が働き手にとって不利になるような形態の副業に関しては許可されていません。加えて、アルバイト等に従事する人が健康被害を回避するという点からも、長時間労働や不規則な労働時間の副業にならないよう注意する必要があります。

例えば、会社の労働時間やアルバイトの労働時間を考慮して、必要に応じて時間外労働や休日労働を制限するなど、適切な労働環境となるよう労使で協議することがポイントです。

副業の注意点(2)社会保険・労働保険

次に考慮すべき注意点は、社会保険・労働保険に関係するものです。社会保険が適用可能かどうかは企業ごとに判断します。本業と副業のどちらでも社会保険の加入要件を満たしていない場合は社会保険未加入となります。一方、勤めているうちの一社のみが加入要件を満たしている場合はその会社のみで加入します。

勤め先すべてで加入要件を満たしている場合は主たる職場を選択し、すべての勤め先の報酬月額を合算して計算して、保険料はそれぞれの職場が負担するというシステムになっています。いずれか、もしくはすべての勤め先で社会保険加入の要件が満たされないなら、本業と副業の賃金の合計が従来と同じでも、標準報酬月額が減ってしまうでしょう。

標準報酬月額が下がると、将来受け取る年金額が減ったり、受けられる手当金が少なくなってしまったりなどの影響が生じ得ます。

雇用保険に関しても注意が必要です。副業で複数の会社と雇用関係を結んでおり、それぞれの会社で被保険者要件を満たしている場合、最も給料の多い勤め先との雇用関係のみで被保険者となります。複数の会社を合算できる訳ではありません。

雇用保険で支払われる各種給付金は、主たる勤め先の給与をもとに計算されますから、副業などで給料が分散されて主たる勤め先での給与が減ってしまうと、給付金の受給額も減ってしまう可能性があります。

副業の注意点(3)確定申告が必要な場合も

副業による所得の合計が年間20万円を上回る場合は、会社に必要書類を提出するだけの年末調整では不十分であり、個人的にも確定申告をすることが求められています。そもそも、確定申告は1月から12月までの1年間に得た所得を申告し、その申告に基づいて支払う税金が計算されるという仕組みになっています。

副業を持たないサラリーマンであれば会社と契約している税理士が一括で従業員の確定申告をすべて代行してくれるので心配はいりません。一方、副業で別の会社からの収入や所得がある場合には、自分で確定申告をする必要が生じます。ただし、先述の通り副業所得が年間で20万円以下の場合には、確定申告不要の条件に当てはまるわけです。

副業の確定申告で経費が認められる所得とは

副業の確定申告で重要なポイントである「経費が認められる所得区分」についても確認しておきましょう。経費が認められれば、その分を収入から差し引いた額で税金が計算されます。ですから、自分の行う事業は経費が認められる所得区分かどうかを確認しておきましょう。

また、経費次第では、確定申告の必要がなくなることもあります。経費が認められるのは、所得区分が「事業所得」「不動産所得」そして「雑所得」に当たる場合のみとなります。例えば、ネットショップを副業として運営している人の場合、所得は「雑所得」の区分となります。

お店全体での売上高は20万円あるとしても、仕入等に要した諸費用10万円を経費として計上すると、最終的な所得としては10万円ですから、この場合ショップ運営に関する確定申告をする必要はなくなるわけです。副業の種類によっては、ネットショップのように所得を得るための費用を経費に勘定できます。

ですから、副業を始めるなら、自分の行う副業の収入は先ほどの所得区分のどれに当たるのか、またどのような費用が経費とみなされるのか、事前に調べておくようにしましょう。

経費とみなされる費用

ネットショップを経営しているなら、商品を仕入れる際や販売時にかかる送料、商品を保管しておくためのレンタル倉庫代などが費用となります。また、取引先への食事接待や、季節・行事ごとの贈答品、商品宣伝にかかる広告費、事業に必要な文房具やパソコン等デスク周り品の購入なども経費となるでしょう。

さらに、事業を行うために必要な費用も経費と認められていますから、インターネットを使用するためのプロバイダー契約、顧客や取引先とのやり取りに使用する電話代なども含まれます。不動産経営で所得のある方なら、その不動産にかかる固定資産税や賃貸物件の不動産取得税といった費用も経費に計上できます。

ただし、個人的な目的で使用する費用に関しては経費とはなりませんので、しっかりと線引きをして、業務に関係のない出費を適当に経費として計上しないよう注意しましょう。一方、住居が仕事場ともなっているような場合は、家賃や光熱費も事業に必要な経費と見なすことができます。

このようなケースでは、「家事按分」の基準で生活費の一部を経費として仕分けるので、しっかり活用して節税しましょう。面倒な仕分けは、クラウド会計アプリなどの便利なツールを使うのがおすすめです。自動で仕分けし効率よく正確に帳簿付けができるので、日々の会計作業が楽で確定申告をもミスなく行えるようになります。

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