従業員なしの場合の人間ドックや健康診断

会社勤めをしているしていないに関わらず、健康を維持することはとても大事です。仕事のパフォーマンスを発揮する上でも、将来的な重病のリスクを避ける上でも健康には気を使った方がよいのですが、それでも確実に病気を避けられるわけではありません。

そのため、定期的に健康診断、人間ドックを利用することで現状を把握し気をつけるポイントを知る、重大な病気にかかっていないかを未然に知ることは重要です。健康診断、人間ドックの大事さは社会的な立場に関わらず変わりませんが、個人事業主など経営者の立場だと少し話は変わってきます。

当然ながら、個人事業主や経営者の立場だと費用を少しでも経費扱いにしたいと考えるものです。まずは個人事業主の場合ですが、自身の健康診断や人間ドックでかかった費用を経費とすることはできません。さらに、個人事業主自身の健康診断や人間ドックは医療費控除の対象にもならないのが実情です。

個人事業主も法人も従業員の健康を守る義務がありますが、一方で個人事業主自身の場合はそのような法律的な義務がありません。そのため、どうしても必要なものとは判断されず、健康診断や人間ドックの費用は経費にならないのです。

また、これは個人事業主に限った話ではありませんが、病院が関係していても医療費控除に含まれないものがいくつかあります。予防接種、自由診療の治療、そして健康診断や人間ドックは基本的には医療費控除の対象ではありません。

保険の範囲内での治療や、その治療のため公共交通機関を利用した場合の交通費、治療目的で薬局で購入した薬の代金などは医療費控除の対象ですが、病気の治療ではない健康診断や人間ドックは医療費控除として認められないのです。

ただし、仮に健康診断や人間ドックで何かしらの大きな異常が見つかり、そのまま継続的に治療する必要が出てきた場合は医療費控除として認められます。大きな異常が見つかることはよいことではありませんが、今後は医療費が膨らむことが予想されるため、少しでも節税につながるよう領収書は全て保管しておいてください。

今後、従業員を雇う予定があるのであれば健康診断、人間ドックの扱いについて規定しておくことで経費として認められる可能性はゼロではありませんが、基本的には認められません。従業員なしで事業を展開している場合、健康診断や人間ドックの費用は税金面での対策に使えないので、健康を意識するのであれば安上がりな方法を選択したいところです。

特に病気ではないけれども病院で健康診断や人間ドックを受ける場合、自由診療扱いで保険を使えないため、費用はそれなりにかかります。費用を抑える上で役立つのが自治体が手掛けている特定健診で、メタボリックシンドロームなど生活習慣病の予防や改善を目的とした制度です。

また、ふるさと納税の返礼品として人間ドックの利用を用意している自治体もあるので、近くの自治体の返礼品について調べるのも手です。人間ドックの助成制度がある自治体も多いので、人間ドックでしっかりと体を調べてもらいたい場合、お住まいの自治体の制度について調べてみてください。

従業員に人間ドックや健康診断を受けてもらう場合について

先に書いたように、従業員を雇うのであれば経営者、会社には従業員の健康を守る義務があるため、健康診断や人間ドックの実施は欠かせません。その費用は経費として扱われますが、健康診断や人間ドックの利用が全て経費にできるわけではないので注意が必要です。

まず、この場合の従業員とは正社員、もしくは正社員の所定労働時間の3/4を超えているアルバイト、パートの全員を指しており、役員など特定の立場の人間だけが健康診断や人間ドックを受けるというのは問題です。

大前提として、健康診断や人間ドックは条件に当てはまる全員が受ける必要があり、特定の立場の人間だけが健康診断や人間ドックを受ける場合、給与として扱われます。給与と聞くとお金そのものを思い浮かべるかもしれませんが、従業員に対しての度を越した優遇は給与として扱われる恐れがあり、健康診断や人間ドックでも同様です。

しかし、40歳以上など一定の年齢以上であれば、健康診断に加えて人間ドックを受けられる会社も珍しくはありません。このケースはどちらも経費として認められる可能性が高く、年齢に関わらず健康診断は受けられる点、さらに立場の差に関係なく一定の年齢であれば人間ドックを受けられる点がポイントで、特定の従業員を優遇しないようにすることが重要です。

ただし、仮に従業員全員を対象としていても、あまりに高額な健康診断や人間ドックはやはり経費として認められません。保険が適用されない以上、どのくらいが適正かはやや判断しづらいものの、他の病院と比較して明らかに高い場合は経費と認められない可能性が高いので注意が必要です。

健康診断や人間ドックの費用を誰が負担するのか、実はこれは法律的には明確にされていません。先に書いた、従業員の健康を守る義務とはやや矛盾しているように感じられるかもしれませんが、会社側が費用を負担しないといけないと記した法律は現状は存在しません。ただし、健康診断や人間ドックを行う病院を紹介するだけというのは一般的ではなく、現実的には会社側が費用を負担するケースがほとんどです。

そのため、健康診断や人間ドックの費用をどう仕分けするかは悩みやすいところですが、使う勘定科目は福利厚生費です。福利厚生という言葉はよく聞かれますが、従業員に与えられる毎月の給与以外のサービス全般を指しています。健康保険や労災保険、雇用保険などは必ず用意しないといけない法律で義務付けられた福利厚生で、それ以外に会社が自由に設定できる法定外福利厚生があります。

近年、社員旅行は従業員に嫌がられるケースも増えてきましたが、社員旅行は代表的な法定外福利厚生です。他に住宅ローンの補助、結婚祝い金、資格取得の支援など様々な法定外福利厚生がありますが、健康診断や人間ドックの費用もこの法定外福利厚生に含まれます。

そのため、健康診断や人間ドックの費用の仕分けは、借方に福利厚生費、貸方に現金が基本です。基本的に借方の福利厚生費は動かす必要はありませんが、貸方については必ずしも現金とは限りません。保険適用の診察ではクレジットカードを使えませんが、自由診療の健康診断や人間ドックではクレジットカードでの支払いに対応している病院も多くあります。

クレジットカードで支払いをする場合の仕分けは借方が福利厚生費、貸方に未払金を使えばOKです。そして、支払った分が銀行口座から引き落としされれば借方に未払金、貸方に普通預金で処理します。ただし、クレジットカードの分割払いを利用する場合、支払手数料の処理が発生し、仕分けも少し異なるので注意が必要です。

これはあくまで一例で、実際にはこのように単純に処理されないケースも多いですが、健康診断や人間ドックの仕分けで悩んでいるのであれば参考にしてください。健康診断や人間ドックに限らず、仕分けは起業後に悩みやすいポイントで、どう処理するかに困り時間をとられ、業務の方に悪影響が出る恐れもあります。

もし、様々な仕分けに苦労しているのであれば、クラウド会計アプリを利用するのも手です。健康診断や人間ドックなどの、帳簿上の処理に迷いやすい仕分けを楽にする効果が期待できます。仕分けの処理の遅れが確定申告の時期にもつれ込むと非常に大変ですので、そのような事態に陥る前にぜひクラウド会計アプリを試してみてください。

 

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